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Jacob君のネガティヴハーモニー理論

おはようございます。
先日、弱冠23歳の鬼才
ジェイコブ・コリアー君のライブを
聴きに行きました。

彼はあらゆる楽器を、超高いレベルで自分で
演奏し、独自のloopシステムを組んだ機材セッティングにより、その場で思いついたハーモニーを、全身のバネを瞬時に伸縮させてあらゆる楽器を行ったり来たりしながらどんどん音を重ねていき、ヘッドセットマイクで声を何重にも重ね、また鍵盤の和音に対応した声のハーモナイズ装置でヒューマンビートボックスを交えたりもしながら、
信じられないくらいポケットの深いGroove感で
瞬間作曲のようなパフォーマンスを繰り広げます。
おまけに、客席を全力で楽しませようというパフォーマンスシップ。

彼の脳内は誰もが解読不能なJacobワールドに
違いない…と思いきや、
彼が素晴らしいのは
驚くべき事に、
自身の頭に鳴っている音楽理論を
独自の解釈でしっかりと言語化できている

という点も特筆すべきだと思います。
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彼の提唱する「ネガティヴハーモニー理論」
という、新しい理論があります。


彼自身も、その考え方をシェアするから
どんどん参考にしてもらえたら、と言っている
内容です。

簡単にいうと、例えば
本来C△7が鳴るところに対して、
代わりの代理コードに置き換えるために
今までのモーダルインターチェンジなどとは
全く違う観点からの代理コードの
導き出し方を体系化したものです。

5度圏(サークルオブフィフス)という表を
用いると、視覚的に理解がしやすいのですが
keyがCのときに、トニックのCと5度上であるGの間に軸(AXIS、アクシスと呼ぶ)を設けて、5度圏表を真っ二つに分断して考えるとの事です。

C△7の構成音はC,E,G,Bという4音です。
このとき、それぞれの音に対してAXISに線対称になっている音をチョイスしていくと、
CとGは隣り合っているので共通、
あとはE♭とA♭、計4音が選ばれます。
この4音を並べるとA♭△7となる…

即ちこれが
『C△7に対するネガティヴハーモニーは
A♭△7である』という定義付けになるようです。

といった具合に、
あらゆるコードに
ポジティブサイドと
ネガティヴサイドがある
という考え方の元に体系付けられた、
最新の理論です。

僕自身も、彼の言葉を完全に理解しきって
いる訳ではなく、周りのミュージシャン達と
勉強会をしたりしながら
理解を進めていっているところです。

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●ここからが大事●

しかし、Jacob君がそんな理論よりも
何よりも大切にしている事は
「音楽で何を表現したいのか?」
という事であって、
「少しダークで悲しい気分だからこういう響きがいいな」とか
「ちょっとおどけて調子に乗った感じ」とか。

やっぱりそういう事なんですね。

理論を学び、用いる事で、
かえって発想が縛られてしまうようでは
意味がない。

道具箱の引き出しを増やすように、
あくまでも「やりたい事のための便利ツール」として理論を活用して欲しい、と
動画でも語っていました。

これについては僕も本当に同意しています。

もちろんネガティヴハーモニーは
かなり前衛的な理論ですし
使いこなすには相当な慣れと鍛錬が
必要であると想像がつきます。

ですがネガティヴハーモニーに限らず、
基本的なちょっとした理論、
スケールの知識などだって、
同じ事です。
一度知ってしまって自由に使える能力に
なってしまいさえすれば、
たちまち強い味方になってくれます。

なので、
『理論なんて必要ねぇ!
感覚とフィーリングが全てだ!』

という人がたまにいらっしゃいますが、

いやいや。
理論をちゃんと使いこなせたら、
その感覚とフィーリングが何倍にも
かっこよく効果的に響くに違いない!

というのが僕の意見です。
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それにしてもJacob君のような
素晴らしいミュージシャンに出会え、
素晴らしい刺激をくれる事に感謝です。

彼の音楽にもらったエネルギーを、
自分のアウトプットにも
反映していけるような
生き方をしたいなと思いました。

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という訳で
今日は「ネガティヴハーモニー」の
ほんの導入だけ触れてみました。

とても一言で語れる内容ではないので
長文になってしまいましたが、
読んで頂いてどう思ったか
是非教えてくださいね。

(2017/9/29筆)

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