こんにちは、森田悠介です。今日は、こちらです💁♂️
「作品を発表する=プロでなくてはならない。」さて、果たしてそうでしょうか?
この事について、きいてほしい事があります。
なんと、とんでもない事が起こりました。
今日は身内の話になってしまうのですが、僕には小さい頃から尊敬している、伯父さんがおります。
その伯父に起こった、信じられない奇跡のようなストーリーをシェアしたいと思います。
おじの経歴は、こうです。
念のため、オカリナはこちらです。土でできた笛です。💁♂️
色々な色、形、調(key)、中には吹き口が3連で、沢山のオクターブを演奏できるものもあります。
2018年のある日、伊丹のとあるオカリナコンクールで自身のオリジナル曲を吹いていた伯父。
なんと、審査員の中に、イタリアを代表するオカリナ奏者の「エミリアーノ・ベルナゴッツィ氏」がいました。
←Emiliano Bernagozzi
エミリアーノ・ベルナゴッツィWEB サイト
エミリアーノ・ベルナゴッツィ Instagram
伯父の演奏を聴いたエミリアーノ氏は、その演奏と楽曲に、たいそう感激したそうです。
ここでひとつ言っておくのですが、伯父は過去には、プロフェッショナルとして活動していたわけではなく、特段にすごいテクニックがある、というタイプの奏者ではありません。
きけば伯父は、幼少期に育った故郷の景色や思い出をモチーフにして、メロディを書き残していたと言います。
エミリアーノ氏は、その何日か後も、叔父の演奏したオリジナル曲が忘れられなく、とうとうオカリナコンクールの日本人の実行委員長を通じて、連絡をしたのだそうです。
このように、メッセージをもらった伯父(=ソノヤマ・ヒロフミ)は、驚きつつも、イタリアに住むエミリアーノ氏に楽譜を送ったそうです。
コンピューターで楽譜を作ったりする技術があるわけでもないので、「手書きの楽譜」だったのだそうです。
なんと、エミリアーノ氏は、おじの書いた曲を、世界中の劇場やコンサートホールで、自分のコンサートの選曲の中に交えて演奏して周ったのです。
そして、世界中どこでも、その楽曲が多くの観客の心に触れ、受け入れられたとエミリアーノ氏は綴っています。
2020年、エミリアーノ氏は、その事実を伯父に伝えつつ、なんと「ソノヤマ・ヒロフミの楽曲を、オカリナを吹く世界中の愛好家たちに広めたい。楽譜に残すべきだ、私が出版するので楽譜をもっと送ってくれ」
と、こう言った内容のメールを送ってきたのだそうです。
エミリアーノ氏は、世界的に知られるプロフェッショナルな奏者で、オカリナ界では第一人者とも言える人物です。
適当な事を言うはずがありません。
おじも、初めは戸惑いを隠せなかったそうですが、あまりにも情熱的なオファーに、いよいよ本気なんだ、と思い、
手持ちの32曲のうち、12曲の楽譜を送ったそうです。
I was very touched by their proud smiles and their unsteady hands, the emotion that came out from instruments was so palpable, like it was their love of music…
Emiliano Bernagozzi
出版された楽譜集の冒頭に書かれた、エミリアーノ氏の言葉の一部引用です。(原文はイタリア語。英語に翻訳されています)
それぞれの曲はその度に思いを持って作りました。例えば「望郷」ですが、自分が生まれ育った田舎が懐かしく思い出されて作ったものです。共に暮らした家族がいて、一緒に遊んだ友がいて、沢山の思い出があったからこそ故郷が思慕されるのでしょう。オカリナは、私に取ってそんな気持ちを表現してくれる、大切な親友でもあるのです。
園山洋史
これは、同じくこの奇跡が実現した事に対する伯父のコメントからの抜粋です。本文は手書きで書かれております。
伯父は自分の言葉を何度も練り直し、この記念すべき楽譜に、手書きでの前文を記しました。本人も、かつて英文学に精通していて英語も得意でしたが、英語のネイティブスピーカーの知人に自然な英文に直してもらいつつ、翻訳文を載せたそうです。
実際に出版された、
楽譜です。
余談ですが、この右上に写っている伯父の肖像画は、なんと僕が撮影したものなのです。
数年前に、親戚で集まった際に、島根県出雲市の日御碕(ひのみさき)灯台という、伯父も僕も、子供の頃からよく家族で訪れていた灯台を背景に、「おっちゃん、ちょっとオカリナ持って!撮ってあげるよ」などと言って偶然に撮影したものです。
伯父はこの写真を気に入ってくれて、なんと今回の楽譜集の肖像画として使ってくれたのです。
また、楽譜の表紙や、内部には楽曲のイメージに合わせて多数のイラストが描かれているのですが、
そのイラストは、グラフィックデザイナーでもある伯父の娘さん、つまり僕のいとこに当たるのですが、Yuri Ishiiさんが担当しています。
今回出版されたものは「SONOYAMA OCARINA SONGS」として、Emiliano Bernagozzi氏の監修のもと
Officine Musicali Edizioniより出版。アメリカ・デラウエア州にて印刷、製本。2021年2月21日に販売されました。
オカリナ用にメロディだけ譜面になっている本と、ピアノ伴奏とオカリナの3段譜になっている、ピアノアレンジ本として2冊、別売りとなっています。
オカリナ譜とピアノアレンジ譜、両方ほしい方は、こちらでセット購入いただいた方が割安との事です。
テレマン楽器オカリナハウスWEBサイトSONOYAMA OCARINA SONGS 楽譜直販ページへ
様々な種類のオカリナも取り扱っているほか、伯父の出しているCDも取り扱っているそうです😌
Amazonの場合はオカリナ譜とピアノアレンジ譜が別売となっています。
これは、直木賞をとった故・藤本義一さんの言葉で、伯父が僕に教えてくれました。(訂正; 3/30)
「アイデア = idea」何事も、アイデア、発想が大切である。
「インタレスト = interest」興味。何事も、興味を持って取り組むと良い。
「ウォーク = walk」歩く。自分の足で歩いて、見つけた事は、いつまでも自分の中に真実として残る。
「エキサイト = excite」興奮、転じて、感動。何事も、感動しつつ楽しんで取り組む。そうすれば、人にも伝わる。
「オーナーシップ = ownership」責任。しっかりと自発的に行い、それを取りまとめる責任感をもつ。
まとめると、
また、これを受けて、伯父が考えた「あかさたな」は、こちらです💁♂️
愛する
考える
察する
楽しむ
仲良くする
上で紹介した「あいうえお」「あかさたな」のような、わかりやすい標語を、伯父はいつも話してくれます。
今回のような出来事は、偶然が重なっての実現ですが、考えてみると、いくつもの準備がありますよね。
など、色々な事が既に整っていたからこそ、実現したともいえます。
今回の記事を読んで、もちろんオカリナ愛好家の方が楽譜を買ってくれたりしたら、それももちろん嬉しいですが、
何よりも、
職業やプロ、アマなど関係なく、音楽や芸術を自由に表現する事を、何かを理由に諦めたりする必要など、どこにもないのだという事をお伝えしたかったのです。この記事が、少しでも誰かの気持ちに勇気を与えたり、何かのきっかけになりましたら幸いです。
最後に、私信です。
僕はおっちゃんの事を心から尊敬してますし、今回の出来事は、いち親族として、そして音楽家としても大変に嬉しい出来事でした。おっちゃん、おめでとう。いつも学びをありがとう。